すららネット(3998)
時価総額:108億円
業 種:情報通信
事業内容:低学力の子どもにも適応するオンライン学習教材を塾や学校、個人に提供。
現在の株価の位置(日足)
55%の調整からリバウンド。
日足ではありますが、典型的なカップwithハンドルを形成しています。
下落幅が大きい点、カップの部分が鋭角である点は気になるポイントですが、現在は普通の相場ではなくコロナによる急落があったことを考慮すると想定の範囲内かと思います。
過去の株価推移(週足)
週足でみると2019年1月からの下落が気になります。
2019年1月以降といえば、2018年12月のクリスマスショックを経て日経平均株価が底から戻した時期です。
それにも関わらずここまで下落した理由は、「4Q決算で次年度会社業績予想の利益が大きくマイナスとなったため」であると考えられます。
利益のマイナス要因は、システム投資の増加、人員の増加、BtoCマーケットにおけるマス広告(テレビCM)による費用の大幅増加によるものです。
特に広告宣伝費の増加が著しく、2019年度は前年度と比較して3倍以上になりました。
ただし、四半期ごとに広告宣伝費を見ると1Q(テレビCM)に集中しており、2Q以降は比較的抑えられています。
思いのほか上手くいかなかったマス広告(テレビCM)から、WEB広告に切り替えたことで、2019年度の利益が最終的に会社業績予想を上振れました。
今後の業績成長への期待度
新型コロナウイルスによる需要の変化
新型コロナウイルスの感染拡大防止にともなう学校の休校延長を受けて、小中高等学校を対象にした「すらら」のサービスを無償提供しました。
最初は学校50校に提供しましたが足りなくなったためさらに50校を追加し、およそ10万人へ無償提供しています。
今まで何年も培ってきて7万IDだったユーザが、無償提供とはいえ短期間で10万ID追加された…。
これにより、「すらら」のサービスに対する需要がより高まっていくのではと感じます。
そして、10万IDの中に公立学校が入っていることもポイントだと思います。
今まで、すららネットは塾や私立学校を中心にマーケティングを展開していました。
しかしながら国のGIGAスクール構想(1人1台の学習者用端末と高速大容量の通信ネットワークの整備を一体的に推進)を機に、公立学校のマーケット開拓に積極的に取り組む意向も持っているため、その足掛かりとなり得ると思います。
なお、無償提供期間について現時点では5月6日までで、それ以降利用する場合は有料となります。
今後、無償提供が終わった後、10万IDの中でどれほどのユーザが有料で利用するのか。
昨年度増加したID数は約9,000IDだった事を考慮すると、10万IDのうち1割の1万IDが有料で利用するとしても大きなビックチェンジとなります。
第3の柱「BtoCマーケット」
すららネットは、これまで学習塾や学校法人等へすららを提供し、提供された学習塾等が生徒や児童へIDを付与して勉強してもらう、といういわゆるBtoBtoCマーケットを主な顧客として事業を展開してきました。
しかし近年は、BtoCマーケットの開拓にも注力しています。
BtoC マーケットのメイン顧客は、発達障がい・学習障がいや不登校など深刻な悩みを抱える層です。
BtoC マーケットにおける市場シェアが1.25%しかないことを考えると、伸びしろはまだ十分にあると思います。
売上は年々急速に高まってお、「第3の柱」として今後期待が持てます。
リスク要因
教育業界は長期にわたる出生率低下に伴う少子化により、学齢人口の減少という問題に直面しています。
少子化による影響や、子どもにかかる学習費や学習塾の事業所数が増加傾向であることも相まって、同業間での生徒数確保に向けた競争が激化しています。
実際、上場企業だけでなく非上場企業にも似たようなサービスを展開している会社はいくつもあります。
また今後、国のGIGAスクール構想による市場拡大を想定して、大手が新規に参入してくる可能性も十分にあり得るかと思います。
目標時価総額
リスク要因が気になる所です。他社との明確な優位性が自分では判断できませんでした。
ただ、コロナウイルスの影響と国のGIGAスクール構想により、教育業界のマインドが変わるのではないか、そしてそれはすららネットにとって追い風となるのではないかと思っています。
今後の業績への期待度や中期経営計画にはGIGAスクール構想が入っていないことをふまえると、伸びしろ・上振れ余地が高いと判断しました。
すららネットの営業利益倍率は64倍。
中期経営計画では2022年の営業利益は3.1億円のため、時価総額は約200億円と想定しました。